INTERVIEW - デジタル化Q&A

1.先生のクリニックについてと、現在のデジタル化の状況について

Q.医院について簡単に教えてください(保険治療・矯正の割合、スタッフ・技工士様の人数)

OPひるま歯科矯正歯科は、予防歯科を中心に据え生涯に渡り歯を守っていく医院です。まずは虫歯と歯周病の予防、そして必要に応じ矯正をはじめとした各専門医による質の高い治療を提供します。1978年に父が立ち上げたひるま矯正歯科が前身で、私は矯正歯科医を目指し新潟大学矯正科で学び2004年に戻りました。山形県酒田市 日吉歯科診療所の熊谷先生の講義公演に感銘を受け、予防歯科を充実させた矯正歯科にしようと決意、私の代からの変革を進め、2015年に現在のOPひるま歯科矯正歯科に体制を変えました。

スタッフは、受付4名、助手1名、院内技工士1名、衛生士8名、ドクターは常勤3名、非常勤3名で、父には非常勤Drとしてサポートしてもらっています。ユニットは全室個室で9台完備、清潔域不潔域の動線分離し、滅菌室は隔離されるようにしています。これはスウェーデンの研修で見た施設や日吉歯科診療所を参考にしています。

photophoto

Q.現在医院で導入されているCAD/CAM関連機器について教えていただけますか?

口腔内スキャナー(=以後IOS)はSHINING 3DのA-oralscan、3Dプリンターはアシガ MAX、CADはオーソアップとexocadを入れています。

photophoto

2.導入したデジタル機器について

Q.導入されたきっかけは何ですか?また、どの機械をいつ頃導入されましたか?(2022年4月時点)

もともとデジタル化したいと思っていて、コロナウイルス感染流行の影響で診療が落ち着き、検証などもじっくり行える良いチャンスと考え導入を決めました。はじめは2021年頭にIOSを購入しました。続いて3Dプリンターとオーソアップ、exocadをIT補助金を活用し2021年初冬に購入しました。IT補助金の一度目はうまくいかず、二度目の挑戦で審査を通ることができました。一番導入したかったのはオーソアップで、補助金があるのならとexocadも入れました。
予防歯科中心で補綴がそこまで多くありませんので、データを技工所に送る流れで運用を考え、ミリングマシンは高額なこともあり購入を見送りましたが、3Dプリンターが手に入ったことでだいぶ流れが変わりました。現在オーソアップとアシガ MAXの臨床本格運用に向け積極的に動いています。

Q.導入機器と他社システムとの相性や作業性はいかがでしょうか。

院内サーバーを置き、そこに患者番号ごとのフォルダを作って整理しています。IOSでスキャニングしたSTLデータをフォルダに入れ、オーソアップからサーバーにアクセスすればすぐにデータにアクセスできるようにしています。いろいろなソフトでバージョンが違うと動かないというのはストレスなので、できるだけソフトの数を絞って運用するようにしています。

元々すべての矯正患者さんの初診、動的治療後、治療完了後の石膏模型をつくっていましたので、デジタル化で作業性は格段に良くなりました。過去の石膏模型もスキャニングしてデジタルデータへ置き換えを進めています。

Q.導入してみていかがですか?

A-oralscanはコストパフォーマンスが良いです。オーソアップとアシガ MAXは、現在スタッフなどテストケースの治療を3症例行い、歯肉シミュレーションにどのくらい修正入れるのがベストかなど検証を進めながらアライナー矯正用模型は累計50個くらい作りました。私が検証に納得できるまでは患者さんから100%の費用をいただくことはしていませんが、平行模型製作ではすでに活用していて、シミュレーション時間の大幅短縮になることも実感していますので、すでに院内インフラとして欠かせない存在になっています。

photophotophoto

Q.アナログと比べてどうですか?

第一印象で、きれいだな、ここまで出来るんだなと思いました。アシガ MAXの積層はすごく精密で非常にきれいです。アルジネート印象による石膏模型製作は変形のリスクがありますが、デジタルは作業ポイントに注意すれば石膏模型より精度の高い模型を作ることができると思います。

Q.どのくらいの積層ピッチでアシガ MAXを使っていますか?

精度を上げると積層時間も長くなるため、精度と作業効率のバランスを考え設定しています。充分きれいな積層です。

photophoto

Q.オーソアップを購入された目的はなんでしょうか?

アライナー製作用の模型データをつくるために購入しました。しかし、それ以上に毎日便利に使っている機能として平行模型製作があります。また、これまでセットアップモデルは技工士に石膏模型を切ってもらい一つに3~4時間ほどかかっていましたが、オーソアップで大幅な時間短縮ができています。患者説明では途中経過を見せて説明できるのでわかりやすいと好評で、その点もすごくメリットを感じています。

photo

【商品紹介】オーソアップについて

オーソアップは矯正の治療を行う歯科医師をサポートしてくれる、デジタルアライナー制作のための高機能ソフトです。イニシャル歯列からセットアップファイナルをデザインすると、歯列移動の自動シミュレーションができます。シミュレーションした模型はステージ別にSTL出力でき、IBTトレー用の模型もデザイン可能です。ユーザーフレンドリーなソフトで、シミュレーションは動画を操作しながら確認することができるので、技工所、医院、患者間のコミュニケーションにも便利です。

Q.矯正ソフトとしてオーソアップを選ばれた経緯は?他の矯正ソフトと比較はされましたか?

当初からのゴールとして、インハウスアライナーシステムを考えていました。そのために自院でCADを持つ必要があり、その最適な選択がオーソアップでした。SHINING 3Dマエストロも検討し差は感じませんでしたが、補助金対象になるオーソアップを選択しました。インビザラインも使っていました。インビザラインは自動で製作されますが、途中で修正したり、シミュレーション内容を細かく変えることは難しいです。矯正治療は、人間の身体が相手なので、コンピューターで全て読み切れるわけではありません。ワイヤーを曲げて患者さんの口腔内にセットする従来型の経験や技術を活かしつつ最新の技術を取り入れるというところでオーソアップが私の希望に近い方法でした。
アライナー矯正は抜歯を含んだ矯正治療が難しいことが多く、抜歯せず矯正してトラブルにつながることも多いようです。それを解決するために抜歯した歯肉形態までシミュレーションできるソフトがあればいいなと思っています。現在のオーソアップは歯肉形態のシミュレーションがまだ弱いと感じています。オーソアップのバージョンアップでは歯肉シミュレーション機能が向上していると聞いていますので期待しています。

Q.矯正におけるマウスピース矯正の頻度はどの程度ですか?

アライナーだけで治しきれる矯正ばかりではありません。例えば2年半くらいの矯正期間のうち、2年間はアライナーで7~8割の矯正を進め、最後はワイヤー・ブラケットを使った従来型の方法で細かく仕上げをしていけば、矯正中の装置が目立つとか歯が磨きにくいといった患者さんのニーズにも応えつつ、一生使っていく歯並びや嚙み合わせに対する不安も解消できると思っています。

Q.他の矯正システムなども使い分けをされていますか?

インビザラインは使いましたが他は使っていません。ローコスト矯正や他のアライナー矯正も調べましたが、やるのであればインハウスアライナーでハイブリッドの矯正だと考えています。

3.デジタル化をされたご感想やご意見をお聞かせください

Q.CAD/CAM機器の導入前のイメージとのギャップはありますか?

アシガ MAXはスピードが非常に速いと感じました。1時間弱で上下模型の積層ができます。他社製で価格が半分くらいの安価な機種もありますが、そういうものはスピードが倍かかってしまったりします。当院では技工士さんが今は時短勤務ということもあって、積層時間が長いと困ってしまいます。積層時間が早いことでフレキシブルな勤務形態も実現しやすいです。今後増設して2台稼働させることも考えています。

Q.デジタル化して便利になった点やメリットは?

時間的コストを大幅に削減できています。金額コストは微増ですが、アライナーを活用すると1か月に1回だった来院頻度が3か月に一回の来院で済みますので、その分私の手が空きます。技工士さんにつくってもらう予測模型も、アナログだと作業できる数に限界がありましたが、デジタル化で様々なパターンをつくることが容易になり、治療提案の幅が広がったこともメリットとしては大きいです。

Q.デジタル化して、患者さまやスタッフさんの反響はいかがですか?

患者さんはみなさんIOSのスキャニングを喜んでくれます。アナログの矯正用印象採得はみなさん苦しがっていました。スタッフがデジタル機器に慣れるまでは少し時間がかかりましたが、今はエラーの管理もできるようになり便利に使っています。

Q.機器の導入コストについてはどのように感じていらっしゃいますか?

コロナ特別融資・IT補助金を使うことができたため金利も抑えられ、リーズナブルで良いものが購入できたと思っています。オーソアップは本当にコストパフォーマンスが良いです。

Q.まわりの先生方のデジタル化に対するご様子はいかがですか?

インハウスアライナーに関してはまだまだ何それ?という先生が多いのではないでしょうか。
デジタル化を自分で進めていく場合、データの管理方法、ファイルの開き方、拡張子変換など、どう運用するか、何を使うかなども自分で考えて行わないとなりません。パソコンが苦手であったりするとこういったところでハードルが高く感じるかもしれません。インフラ構築から機器購入までメーカーさんに丸投げするパターンもありますが、そうするとかなり高額になり導入を見送っている先生もいるのかなと思います。

4.今後のデジタル化について

Q.今後導入を検討されている製品はありますか?

ミリングマシンに興味がありますが、高額かつ、スペースもとりそうなのでどうしようかという感じです。現在模型からアライナーを作っていますが、直接アライナーを作ることができるプリンターなども注目しています。

Q.ミリングマシンを購入した場合は何をしますか?

セラミックで単冠補綴や2~3歯のブリッジを考えています。メインテナンスで定期的に来院される患者さんに次回予約を待たず対応できるよう導入を検討したいです。

Q.デジタル機器に関連してフィードに何かご意見があればお聞かせください。

色々なデジタル機器やソフトをシームレスに連携していってくれたり、それを患者さんも見ることができるようになることを期待しています。そうして仮想空間上で治療ができるような第一歩ができれば、そこに販売チャンネルも生まれていくのではないでしょうか。

【先生ご使用機器のご紹介】

まずはお問い合わせください!

デジタル技工の活用方法やフィードではじめるメリットをお話します。

お問い合わせはこちら

ものづくり補助金は、投資金額の最大2/3まで、上限1,250万円を受領できる補助金です。
フィードで無料ウェビナーを開催します!

ものづくり補助金オンラインセミナー(ウェビナー)のお申込みはこちら

デジタルデンティストリー特設ページ トップへ戻る