光照射器 バイヤーズガイド

三木雄斗先生

三木先生が考える
光照射器を選ぶポイント

1.照射出力は2000mW/cm²程度をセレクト

低:1000mW/cm²以下
中:2000mW/cm²前後
高:3000mW/cm²以上

一般的に照射器のパワーはこの3種類に分かれてくると思います。少し前は低出力よりも高出力の方がレジンの硬化が早くなるとされていました。それ自体は間違いではありませんが、高出力になればなるほど、生じる温度が高くなってきてしまいます。

一般で広く使用される光重合レジンは、発熱による重合反応はもちろん、吸収された光エネルギーによる温度上昇の二つによって更に温度が上昇していきます。そして温度が上昇することで重合速度が上がり、結果としてコントラクションギャップの原因になるという報告もありますので、むやみやたらとハイパワーを使うのも得策ではない現状があります。その為、私はほとんどの場合で2000mW/cm²程度のパワーで臨床を行っています

最近では最初から高パワーで行くよりも低パワーで軽く硬化させてから、その後高パワーに切り替えるよう照射することが推奨されています。

最近出ている照射器には「最初低いパワーで照射してじりじりとハイパワーに切り替え照射してくれる」モードのある照射器もあり、そういうものであればコントラクションギャップは更に生じづらくできると考えられます。レジン術後に生じる不快症状の原因になることはもちろん、予後・歯髄症状にも関係してきますので、ここは注意したいところです。

2.歯牙全体に照射できるφ12mm程度のレンズ径がおすすめ

歯牙幅径で最大は下顎第一大臼歯ですが、その平均幅径は凡そ11mm、大きい場合は12mmを超えることもあるので、歯牙全体に均等に照射するためにはφ12mm程度のレンズ径のものがおすすめです。

3.ヘッドに湾曲が無いものが好ましい

ヘッド部の湾曲についてですが、光硬化を行う際には全体を均等に照射するために、照射部が修復物と並行で尚且つ近接しておくことが重要です。ヘッドが湾曲しているタイプの場合、開口量からも第1・第2大臼歯への照射にムラが生じてしまう可能性があります。その為、ヘッドには湾曲が無く開口量が小さくとも十分な照射量を届けられるよう、ヘッドに湾曲が無いものが好ましいと考えています。

4.波長域も確認を!

光重合レジンで使用するのか、補綴物のSetの際に使用するのかで波長域も気にする必要が出てきます。最近発売されている照射器は基本的には波長域が広めに設定されていることが多いですが、あまりに安価なものではポーセレンを透過しなかったり、使用しているレジンの有効波長域から外れているなんてこともありますので、そこは注意が必要です。

5.充電池使用タイプはストレスゼロ

多くの照射器は専用のスタンドに置くことで充電ができるタイプです。ただしそうなると電池がヘタってきてしまった時には修理or買い替えとなってしまいます。一般的な充電池を使用することが出来る照射器であればこのストレスを失くすことが出来る為、お勧めです。

6.簡単操作モードタイプが使いやすい!

モード選択自体はあった方が良いとは思いますが、個人的には1つのモードを設定後に、それを変更することは滅多にありません。そう考えるとたまにしか行わないモード変更が2つのボタンを同時に押して~このボタンを長押しして~といったように複雑なものよりは直感的に簡単に操作が出来るタイプのものの方が楽だと思います。

7.軽量を推奨

片手で持ち、操作する都合上、その重さも重要です。基本的には軽い方が操作性が良いですし、照射時の固定も楽なため、軽量なものの方がおすすめです。