「何から始めて、何を揃えればいいの?」をドクターに聞きました!

訪問診療を始めたきっかけを教えてください。

大橋先生団塊世代が後期高齢者層に突入し、急速に要介護認定者が増えていくことが予想される中、訪問診療には大きなマーケットがあると認識し、介護保険の勉強や介護支援専門員の資格も取得。訪問診療を中心に行う歯科医院に勤務し、実際の流れや仕組みを実践し経験を積みました。その後、自分で開業するに至りましたが、私が開業する要因になったのが訪問診療だったと思います。

訪問診療での主な診療内容を教えてください。

大橋先生在宅での訪問歯科診療の内容は義歯の修理や作製が中心です。一方、開業前に勤務していた医院では施設へ行くことが多く、口腔ケアが中心だったため、歯科衛生士と共に訪問しました。在宅=義歯、施設=口腔ケアの図式は全国的な傾向のように思われます。

訪問診療の集客はどのように行ったのでしょうか。

大橋先生開業時のチラシや医院の看板、待合室に訪問診療を行っている旨を記載。当院の入っているビルに包括支援センターが入っているため、チラシを持参し挨拶にも行きました。ただ基本的には通院されている患者さんのご家族の訪問診療を依頼されることが多いです。

訪問診療を始めるための手続きや点数算定などの情報はどのように確認されていますか。

大橋先生まず歯科訪問診療の注13に規定する基準に関する施設基準が届出されているか確認しておく必要があります。介護保険においては保険医療機関である歯科医院は介護サービスの一部を行う指定事業者としてみなされています。そのため、訪問診療を始めるための行政への手続きは特段ありません。ただレセコン等は介護保険に関する記載などはオプションであったりするため、確認をする必要があります。
訪問診療の基本的な仕組みは、点数改定毎に販売される赤本(歯科診療)と保団連から販売される「歯科保険診療の研究」を熟読します。細かい解釈や注意点などは日本訪問歯科協会の情報会員となっていますので、ここから情報を得ます。本協会は毎日、動画が配信され、しかも1~2分の短い内容であるため、診療前に視聴します。
他にはネットで検索すると各地の保険医協会より訪問診療の手引きやマニュアルが PDFにて無料で入手できます。ただ1点注意点として、訪問歯科診療の点数も変更があります。最新の情報を入手する必要があります。

訪問診療用に新規購入されたアイテムがございましたら教えてください。

大橋先生在宅の場合は義歯調整が中心となりますから、ポータブルのモータが必須です。また口腔ケアを行うにあたり、吸引器を購入しました。明るさの確保は登山用のヘッドライトの強力なタイプを購入すれば足ります。施設で大規模に口腔ケアなどを行うのであれば、ポータブルユニットが必要であると考えますが、最初から購入する際は十分に検討したうえで決定するのが良いでしょう。

訪問診療を始めて良かったことを教えてください。

大橋先生歯科医院内ではとかく、歯や口、義歯の話題が多くなりがちですが、ご自宅に赴いての治療となると、患者さんからいろいろな話題が提供され、ヒト対ヒトの関係を構築することができます。そうしますと信頼感が高まり、かつ感謝されることも多くなり、充実感へと繋がります。人間関係の機微はストレスの多寡に及ぼす影響が大きいため、院内でのクレームなどもあまり生じなくなり、基本的にストレスフリーで働けます。訪問診療は在宅であれば、時間を長く取れる場合も多いので、心のゆとりに繋がり、良いのかもしれません。

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