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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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康本 征史「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営

FEEDNOTE No.37 掲載記事

明けましておめでとうございます。2021年もスタートしました。昨年は、新型コロナ感染症に振り回された1年でしたので、そこから何を学ぶかについて考えてみたいと思います。

コロナ禍で身についた「マスク着用」「ソーシャルディスタンス」「非接触」によって、毎年のように流行していた「インフルエンザ」や「手足口病」等々の感染症が激減しました。東京都感染症情報センター発表によれば、インフルエンザは99.97%減少し(第51週)、入院者はゼロとなっています(図1)。これだけ見れば、我々はインフルエンザとの戦いに完全勝利したといっても過言ではないように思えます。確かに、コロナウィルス感染症が心配で昨年よりも予防接種としてワクチン注射を受けた人は多いことでしょう。しかし、それだけで99.97%減を達成できるだろうか。逆に言えば、これまでのインフルエンザ感染対策というものは、的を得たものではなかったか、あるいは徹底されていなかったのではないか。

図1

コロナウィルス感染症で我々が行ったこと、それは特別なものではありませんでした。ですが、これまでとは比べ物にならないほど徹底した時期があり、大体のことは今も継続されています。それによって、コロナは止められていないがインフルエンザや手足口病などの感染症は大いに防げ、何もSpecialな方法ではないが、徹底することで完全勝利に導くことができることを体験した、得難い1年だったと思えます。小さな頃から『凡事徹底(ぼんじてってい)=なんでもないような当たり前のことを徹底的に行うこと』について諭されてきましたが、社会全体で実体験し成功させたことは未来への大きな一歩と言えるでしょう。

そして、これだけ苦労したのですから、この経験を医院経営に活用しない手はないです。国も医療機関への支援を増やし続けています。医療関係者への慰労金(1人5万円)や感染対策支援金(100万円)など。さらに、昨年12月15日から急遽「乳幼児感染予防策加算55点(6歳未満)」が新設されました。小児の外来診療においては、特に感染予防策が必要になるからというのがその理由らしいです。また、小児以外の初再診についても5点の加算を認める方向(4月~9月まで)であり、他にも医療機関への追加の感染対策費として25万円の支援金が第3次補正予算案に組み込まれました。

あとは、我々が凡事徹底するだけです。かねてから「ユニット内の水が汚染されている」「タービン等を使いまわししている」など歯科医院における感染対策の未熟さを非難する報道がなされてきました。それぞれの歯科医院ではそれなりに努力してきたと思いますが、徹底されていたのかと問われれば、当院も含め真摯に反省すべき点は残っています。だからこそ、今だからこそ、もっと言えばこの機会を決して逃すことなく、グローブ、マスク、フェイスシールドの着用、ユニット周りの消毒等々を徹底して行うだけでなく、一人一人の患者さんへきちんと説明すべきです。当院では、こんな感染対策を講じている、と。

今年もwithコロナは続き、afterコロナはまだはるか先かもしれません。しかし、『継続こそ力なり』とスタッフを鼓舞し続け、彼らと共に、日本の歯科界の新常態(ニューノーマル)を作り上げることができたら何と喜ばしく、誇らしいことか。是非とも、一緒に頑張りましょう!

康本 征史
康本 征史 profile 日本歯科イノベーション協会(JDI) 会長
柏の葉総合歯科・小児歯科 院長

1994年康本歯科クリニック開業。
2000年予防歯科センターを増設し、定期管理型歯科医院として業績を伸ばす。
各地域での講演会だけでなく、21世紀の歯科医院経営の追求を目的とした「康本塾」「次代塾」を主宰する等、精力的に活動中。