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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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康本 征史「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営

FEEDNOTE No.36 掲載記事

菅首相の誕生で、2021年はデジタル化が一気に進む様相です。今年のコロナ感染症が背中を一気に押した結果ですね。医療界においては、2021年3月よりマイナンバーカードが保険証の代わりに使えるようになります。当面の間は、保険証の患者さんの方が多いので、受付業務としては逆に忙しくなってしまうでしょう。ただでさえ狭い受付なのに、マイナンバーを読み込む装置も設置しなければならず、スタッフからブーイングが出そうです。

それでもデジタル化(DX=デジタルトランスフォーメーション)の方向は変わらないのです。他院に先んじて準備し導入していくか、それとも、後でゆっくり取り掛かるか、個々の医院の考え方次第ですが、当院は先んじて導入をしていきますし、皆さんにもそれをお勧めします。保険診療機関であるということは、保険制度の熟知が重要です。つまり、国の方向性をきちんと踏まえていく必要があるのです。読み取り機そのものは国から1台支給されるわけですから、早い者勝ちですよ。詳しくは厚生労働省のホームページで「オンライン資格確認導入の手引き」をご覧ください。

先日、千葉県(当院所在地)から、医療機関への支援金100万円とスタッフへの慰労金(1人5万円)が入金されました。支援金は、これまで高騰したマスクやグローブ(最近また上がってきた)等の購入費にあててほしいと、国から支給されたものです。まだ4割以上の医院が請求していないとのこと。医院経営として、あまりにももったいないことです。IT補助金等は、そうは言っても医院の持ち出し(現金)があるものですが、支援金は実費分をそのまま負担してくれるものです。一言で言えば『貰える』もの。今年の4月以降に購入したもの、来年3月までに購入するものを合算して上限100万円までもらえます。申請はそれぞれの都道府県HPから行います。今、話題になっている持続化給付金の詐欺事件とは異なり、余ったら国庫に返金すれば良いので、まずは、申請しましょう。(もちろん、お咎めありませんよ)

コロナに関係しているかはわかりませんが、全国の歯科医院数が昨年同月比で113医院純減したそうです。詳細は、開設1451再開70、廃止1478、休止156で差引113減少となりました。その中には、個人廃止→法人開設495、逆が87も含みますので、新規開設も廃止も900弱ということのようです。バブル期に厚労省が推計した歯科医院数からはるかに少なく、今後も減少の方向性は変わることがありません。地域によっては、無歯村も増えていくことでしょう。生活の医療としての歯科が地域から不在になることは、地域としても大きな損失になります。廃止した歯科医院の主な理由を調べたいですね。中には、後継者が不在のため、やむなく廃止することになった医院も少なからずあるのではないかと思います。東京等の大都市との偏在が歯科においても大きな問題になりかけています。そろそろ、本格的にグループ化が必要な時代になるのでしょう。準備していきましょう。

康本 征史
康本 征史 profile 日本歯科イノベーション協会(JDI) 会長
柏の葉総合歯科・小児歯科 院長

1994年康本歯科クリニック開業。
2000年予防歯科センターを増設し、定期管理型歯科医院として業績を伸ばす。
各地域での講演会だけでなく、21世紀の歯科医院経営の追求を目的とした「康本塾」「次代塾」を主宰する等、精力的に活動中。