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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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康本 征史「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営

FEEDNOTE No.31 掲載記事

皆さん、あけましておめでとうございます。本年も素敵な1年になるようにお互い努力していきましょう。さて、今年は令和初の保険改正です。すでに歯科は、0.59%の増加と決まっております。あとは、点数の配分を待つだけですね。前回と異なり、初再診料には予算を使わないと思われますので、前回よりも思い切った改正が行われるかもしれません。

そうはいっても、あくまで連続性の中での改正ですからまずは前回(平成30年)を思い出すことから始めましょう。大きなテーマは、3つでした。

?かかりつけ医の強化
?管理の強化(例えば周術期)
?医科歯科連携や在宅・往診の連携強化

おそらくこの3つは微調整はあるものの同じ方向が維持されていくと思われます。

?については、「か強診」になるためのハードルや更新のためのハードルが上がるのかどうかについて着目する必要があります。現時点で全国の1万件以上で全体の15%程度がかかりつけ医となっております。かかりつけ医の方向性が変わらない以上、さらに「質の高さ=量」を求めてどのようにハードルが上がるかに注目です。また、そもそも論として「かかりつけ医は受診者が決める」のではないか、と登録制を匂わす議論もされていることを付記しておきます。

?の管理ですが、周術期は、病院歯科があるところだけが、相当数算定されているようで、病院歯科がないところでも活用されるように“医科が取りやすくなる”改定が行われると聞いております。また、前回導入された新病名である口腔機能発達不全症および低下症は算定回数が伸び悩んでいることで何か変わるのか、さらに、今回『口腔バイオフィルム感染症』という新病名が導入されるのかに注目しています。

?の連携強化は、さらに進んでいくことでしょう。団塊の世代が今後歯科医院に通院できなくなることは明白ですし、連携した分だけ効果が見込めることもはっきりしていますから。「量を行うことで質が高まる」という国のスタンスの中、在宅に力点を置く歯科医院への評価が増す方向は維持されることでしょう。今回の改正の目玉は「CAD/CAMの適応症例をどこまで拡げるか」だと思っております。

その理由は、“パラジウムの高騰”です。この2年間だけでも2倍近く高騰しています。その結果、臼歯が全部(4番から7番まで)解放されるか、前歯にも適応拡大していくのか、注目しております。どちらにしろ、技工士数減少の影響を合わせて考えれば、歯科医院におけるデジタル機器の利活用は避けられない流れです。個人的には、IOS(インターオーラルスキャナー)の保険導入を期待していますが、実現には少し時間がかかるかもしれません。

その他にも、支払い側から「歯科疾患管理料の算定時期について」提案がされていますし、外来環境加算の算定要件である「歯科衛生士常勤1名」が緩和されるのでは?という話も聞こえてきます。興味のある方は、厚生省HP中央社会保険医療協議会で資料をダウンロードできますので読んでみてください。(図1)

図1
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※厚生省HP中央社会保険医療協議会
https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/shingi-chuo_128154.html

康本 征史
康本 征史 profile 日本歯科イノベーション協会(JDI) 会長
柏の葉総合歯科・小児歯科 院長

1994年康本歯科クリニック開業。
2000年予防歯科センターを増設し、定期管理型歯科医院として業績を伸ばす。
各地域での講演会だけでなく、21世紀の歯科医院経営の追求を目的とした「康本塾」「次代塾」を主宰する等、精力的に活動中。