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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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ストック型予防医療の理論と実践

FEEDNOTE No.41 掲載記事

院内に歯科衛生アセスメント(口腔内外の診査)を導入しよう!

歯科衛生過程5つのうち、最も臨床導入が優先されるべき「歯科衛生アセスメント」。今回は「初見の記録」で必要になる病変の部位と範囲の確認方法からご説明します。

Ⅲ 部位と範囲

病変を最初に確認したときは、周辺組織との位置関係を正確に記載する。口腔の各部位を図示した記録用紙を用意しておくと記載しやすい(図1)。部位と範囲を明確にするために、次のような用語を用いると良い。

図1

  • 限局性:病変部が小さく一部分に限られている場合。
  • 全身性(び漫性):一定の領域や、広い部分に広がっている場合。
  • 孤立性病変:境界明瞭な固有の病変が1カ所に存在。
  • 多発性病変:固有の病変が数カ所に散在。
    多房性または分離型:分離し、房のように連続しないもの。
    癒合性:互いに融合するように境界を接しているもの。

Ⅳ 物理的特徴

A 大きさと形
  • 長さ幅をmm単位で記載する。
  • 隆起した病変では、高さが重要である。
    写真6のように、プローブで測定する。

写真6

B 色
  • 赤 (紅)色、ピンク色、白色、赤と白が混在した色などが最も一般的にみられる。
  • 青色、紫色、灰色、黄色、黒色、褐色のこともある。
C 表面の性状
  • 病変部の表面は、平滑もしくは粗造である。
  • 乳頭状、いぼ状、溝状、波形状、痂皮状を呈することもある。
D 硬さ
  • 病変部は軟らかい、スポンジ状、弾力性、硬い、硬結などと表現する。

【形態学的分類】

ほとんどの病変は、正常な皮膚や粘膜に比べ、隆起状、陥凹状、あるいは平坦に区分される。

Ⅰ 隆起した病変

隆起した病変は、平坦な皮膚や粘膜上に見られ、水疱型と非水疱型がある。

A 水疱型

水抱型病変は液状成分を含み、多くは軟らかく半透明である。小水疱、膿疱、水疱の形をとる。

  1. 小水疱:直径1cm以下の小さな、薄い皮膜で覆われた境界明瞭な病変である。漿液や粘液を含み、白色に見える。
  2. 膿疱:直径5mm前後で、内部に膿が入っているため黄色味を帯びる。
  3. 水疱:直径1cm以上で、その内容液は漿液または粘液であるが、ときに血液を入れることもある。色は内容液の種類による。
B 非水疱型

非水疱型の病変は硬く液体を含まないもので、丘疹、小結節、膿瘤、プラークとして見られる。丘疹、小結節、膿瘤は基底部の形態で分類される。図2に示すように有茎性病変は細い茎部で付着しているが、無茎性病変は病変部に一致する広い基底部をもっている。

図2

  1. 丘疹:点状から5mmくらいの小さな充実性の病変で、点状、球状、頂上が平坦なものがある。
  2. 小結節:丘疹より大きく、直径5mm以上1cm以内の病変。
  3. 腫痛:2cm以上の幅径を持つ病変で、一般的に腫脹または増大したものを指す。この場合は良性悪性を問わず、新生物(腫瘍)を意味するものではない。
  4. プラーク:広く平坦な頂部を有するわずかに隆起した病変で、直径5mm以上あり、糊で貼りつけたように見える。

次回は、陥凹した病変についてお話します。

辻村 傑
辻村 傑 profile つじむら歯科医院グループ 総院長
1993 神奈川歯科大学 卒業
1995 つじむら歯科医院 開業
1997 医療法人社団つじむら歯科医院 開設
2008 神奈川歯科大学生体管理医学講座 薬理学分野大学院
2010 南カリフォルニア大学客員研究員、アンバサダー(任命大使)
2013 インディアナ大学歯周病学客員講師
2014 神奈川歯科大学 顎咬合機能回復補綴医学講座 講師
2017 IDHA: 国際歯科衛生士学会 会長就任