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歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます 本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、 多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。
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今年の1月末、わたしが主催しているデンタルアーツアカデミーのメインイベント、トロントスタディープログラムにおいて、第五期生の皆さまが卒業されました。卒業記念講演会や最終セッションでは複数の海外オピニオンリーダーを招待し、レクチャーをしていただいたのですが、その際に改めて気づいたことがありました。アメリカのエンド学会(AAE)やヨーロッパのエンド学会(ESE)はそれぞれに、『このようなエビデンスに基づいてこのように治療すべき』という治療のガイドラインを発表しています。同じ処置について相互にガイドラインが異なっても、縁って立つエビデンスが異なるため、お互いに譲らずガイドラインが並立することもあります。『どちらが正しい』とかではなく、『(エビデンスゆえに)異なる』のです。しかし、残念なことに、少なくともエンドに関しては我が国日本からは何のガイドラインも発信できていません。日本の先生たちの『欧米学会詣で』が続いているのは当然のことですね。
では、なぜ日本の学会は世界に向けてガイドラインが発信できないのでしょうか?わたしは2つ要因があると考えています。1つ目は保険に基づいた治療費が低く設定されているため、『エンド業界』としてお金がうまれづらく、大学・企業とも研究開発にまわせるお金・人材がとぼしくなっているのです。2つ目は日本の大学で教える内容が歯科医師国家試験に通るための勉強、言い換えると保険診療の内容に縛られているため、最新の研究トレンドを学んだり、エビデンスを積み上げて自分で解決法を編み出しそれを他者に伝える/説得するといった訓練がほぼできなくなってしまっているため、『世界に向けたガイドライン』を発信できるような現状ではないのです。
この、『エビデンスを積み上げ他者に伝える』訓練の欠落は、『クリニックでの診療における患者さんへの説明不足と信頼の失墜』という重篤な副作用に繋がっています。先生方がたとえ正しく診査診断出来て診療計画を立てられても、それを患者さんにしっかり伝えられなければ治療の価値が激減します。わたしのところに来る患者さんは『非歯原性の痛み』を抱えている方が4割程度なのですが、こうした方々に対しては、心療内科を紹介するだけでなく、歯の痛みが歯以外のところから来ることを説明し、納得してもらい、共感を得て初めてわたしの治療パートが終了となります。『説明して納得・共感を得る』というのは信頼を勝ち得るための重要なプロセスなのに、保険診療を起因とする様々な要因から欠落してしまうと、患者さんはある意味『不完全燃焼』な気分でクリニックを後にすることになります。先生や歯科への不信感につながってしまうのは勿体ないことです。
残念なことですが、おそらく私たちが生きている間に保険診療や大学の体制は変われないでしょう。だったら、自分が変わって、自分のクリニックを変えるしかありません。自分の技量をアップさせて自費診療をスタートし、一人ひとりの患者さんに向き合う時間をしっかりつくって患者さんとの信頼関係を構築してください。こうした変化を選べる方は限定的なので、根管治療の自費診療はいまだブルーオーシャンです。せっかく取得した歯科医師ライセンスを是非とも保険のルーティンワークのためでなく、患者さんと自分のために役立ててください。