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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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FEEDNOTE No.58 掲載記事

去る5月31日から6月2日まで、東京ミッドタウンで顕微鏡歯科学会を開催いたしました。会期中は1200人以上の方々にお越しいただき、大盛況のうちに幕を閉じました。皆様、ありがとうございました。学会には外国人演者のスポンサーになっていただくことで2社の中国企業にも盛大に出展してもらいましたが、そのお礼も兼ねて、先日、Woodpecker社の本社施設内で講演とハンズオンコースを行ってきました。滞在中には同社の様々な分野の開発スタッフとミーティングをさせていただきましたが、なによりも驚いたのは『少しでも良い製品を開発して世に出そう。』という熱意です。実は、国際営業部門の一部のスタッフを除いてWP社の多くの社員は英語を話せません。にもかかわらず、営業の通訳に飽き足らず、作図・計算式・翻訳ソフトなどあらゆるツールを駆使してわたしとコミュニケーションをとり、自らの開発をなんとか成功させようとする熱意に圧倒されました。ちなみに、こうした開発ミーティングは講演後の懇親会の後からスタートいたします。密度の濃い議論の後ふと時計を見るとすでに日付が変わっておりました。ですが、みんな『疲れた』というよりも『いい議論が出来て良かったね!』と充実感にあふれており、私自身も『新しいものが出来上がりそう!』と久々に楽しい気持ちになりました。

先日、『データブック国際労働比較』の数字を見る機会がありました。2015年というやや古い数字ですが、既にこの時点で日本人の週労働時間は37.7時間とG7中最短レベルなのです。これは2010年代から粛々と進められている『働き方改革』の結果ですが、同改革の旗振り役は、世襲議員や元官僚議員。そして『改革』の中身を作っているのも官僚です。つまり働いてお金を稼ぐこととは無縁のポジションの人たちが机上の理論で最前線で働く人たちのライフスタイルを方向付けているといっても過言ではありません。ちなみに2023年の日本人の労働生産性はOECD加盟38か国中31位。東欧レベルの低さです。一般的に、生産性も労働時間も少ない国は衰退するしかありません。言い換えると、今日本で周囲と同じ事にしか取り組まないなら、良くなる可能性はほぼゼロということです。歯科で言うならしっかり一定時間以上の勉強をした上で自費診療に踏み出すしか選択肢はないと思われます。この『勉強』にやや躊躇される方もいらっしゃるかと思いますが、ここは自費に踏み出すなら必要不可欠なプロセスです。私見ですが、歯科医師人生の限られた一時期に周囲を顧みずに勉強に没頭する時期があってもいいのではないかと思うのです。

手前みそになりますが、『勉強』の方向性をガイドする、最適なプログラムを現在デンタルアーツアカデミーで募集させていただいております。『第六期トロント大学スタディプログラム』です。責任者のFriedman先生は日本の働き方改革とは関係なく密度の濃いカリキュラムを提供してくださいます。前回のセッションでは19時ごろまで講義・実習が続いたこともありました。提出すべき宿題の量も少なくありません。出した宿題はFriedman先生に採点されてしまうため、いい加減なものは提出できません。今、日本の教育現場で失われつつある『愛情あるスパルタ指導』を是非受講しにきてください。おそらく第六期が最終章となる可能性が高いため、最後のチャンスです。お見逃しなく!

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寺内 吉継 profile 東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師

神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。