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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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FEEDNOTE No.42 掲載記事

先日、わたしが主任講師を務めさせていただいている、Dental Arts Academyにおいてスタッフの新規募集を行わせていただきました。外国人講師をお招きするセミナーがすべて2022年に延期になっているため、来年は大変な負荷が現場にかかることが危惧されるためです。多くのエントリーを頂けたことはありがたいことなのですが、既存のスタッフよりもかなり「先輩」にあたる、50代・60代といった方々のご応募が半数を超えていたことに大変驚愕いたしました。現職が東証1部上場の「有名企業」である場合も少なくありません。これまでの常識を当てはめると、「もうそろそろ引退して悠々自適な生活を送ろう」と第二の人生をプランニングするようなご年齢のはずです。なのに、「改めて新しい会社に正社員として所属しよう」と考えるのは、日本の社会が「何となく」「良くない方向」に「流されている」ような不安を感じるからではないでしょうか?今回の募集では、「引退できない世の中」を垣間見たような気がして少し残念に思いました。

ここ1年ちょっとの間、コロナ禍によって自分の周囲を含め、人々の往来はかなり限定的でした。しかし、歯科を含めた各産業は、この間もとどまることなく変化し続けています。ハイブリッドシステムで圧倒的な強さを享受してきた日系某自動車メーカーは、「EV化を遅らせるロビー活動を盛んに行っている」ということで今年、「もっとも非エコな会社」との評価を環境団体から下されてしまいました。また、半導体の需要ひっ迫によりパソコンやスマホだけでなく、家電製品までも値上がり基調が続いており、「良いものがいつでも安く手に入る」というこれまでの常識が覆ってしまいそうです。

コロナ後の世界で、日本政府としてどのようなスタンスをとり、日本の存在意義や強みをアピールしていくか。とてもかじ取りが難しく、重要な局面に来ていると思います。

10月末に行われたのは、日本の進む道を議論するための国民の代表を決める、とても大事なはずの衆議院選挙でしたが、投票率は戦後三番目の低さという、残念な状況でした。

漠然とした潜在的な不安やリスクが顕在化する前に、限られた時間を何に振り向け、どのような勉強をすべきなのか。色々な物事に当事者意識を持ってアンテナを張り巡らすとともに、俯瞰的な視点から考えることがかつてないほど大切になっていると思います。

我々が帰属する歯科業界の保険点数はここ25年間ほぼ横ばいです。同じ時期に200%伸びた医科とは大きく状況が異なります。これから様々なコストが上がり始める中で、「引退できる将来」を目指すなら、是非、治療費をご自身の裁量で設定できる自費治療をなるべく早いタイミングでスタートしてください。きっと、これまでの「漠然とした不安」が「確信を伴った安心感」に変わっていきます!

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寺内 吉継 profile 東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師

神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。