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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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FEEDNOTE No.39 掲載記事

4月下旬の今週は、根管治療最大の学会であるAAE weekです。いつもは渡米し、色々な先生にインスパイヤーされて直接元気をもらってくるのですが、残念ながら1年以上続くコロナ禍の影響で今年はオンライン開催となりました。ですが、さすがAAE執行部のセレクションを通り抜けた「根管治療のオタクたち」です。

ペンシルバニア大学のキム教授による外科治療の話題や、ケン・ハグレバス教授による術後痛低減のためのノウハウなど、わたしにとっても初めて聞く話題や「なるほど!」と思うトピックが目白押しでした。オンライン講演でも演者の素晴らしさはビシビシと伝わってきます。

日本時間の午前4時スタートだった自分の講演のせいもありますが、聞く講演すべてが面白すぎ、現在、わたしは55年前の「FIFAワールドカップ開催中」並みの寝不足に陥っております。また、コロナ禍でも変わらぬ巨匠たちの「歯科医療進化への熱い思い」になんだか安心感も覚えました。

ところで、講演を視聴していて大変興味深いことに気づきました。少し前からわたしも技術力・開発力を高く評価していたWoodpecker社の製品を使った症例が増えているのです。3年前、わたしは自ら願い出て、Woodpecker社の本社と工場を訪問させてもらいました。創業者のウー氏は奇しくも私と同じ年齢。機械工学の分野から歯科に転じた創業30数年の会社です。松下電器の創業者・松下幸之助氏の言葉が壁に貼ってあるなど、高度経済成長期の日本企業を目標にしているとおっしゃっていました。

昨年、「コロナになって中国メーカーは大変ではないか?」とぶしつけな質問をしたところ、「海外に渡航する機会が少なくなったので社内の体質強化や開発の進展が加速している。ずっと忙しくて先送りになっていたことに取り組めて、逆にラッキーだと思っている」という返信がありました。昨今の同社の攻勢を鑑みるに、上記の言葉が強ち本心に近かったのではないかと思われます。

今年のゴールデンウィークは、日本全国で様々な制限が課されることになりそうです。今後、ストレスから無意識のうちに歯軋り食いしばりをしてしまい、歯原性でない痛みを訴えて歯科クリニックの扉を叩く患者さんが増えそうです。そんな患者さんに対して適切な審査診断が下せるか。先生方の勉強にかかっています。いつもと違うコロナ禍の日々。是非、これまでできなかった「先送りになっていた勉強」を予定に組み込み、近未来の飛躍に備えてください!

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寺内 吉継 profile 東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師

神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。