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臨床や経営に関する著名医師によるコラム Opinion


歯科医院経営には、幅広い知識と経験が求められます
本連載企画では、歯科領域にまつわる様々な分野でご活躍中の方々に、
多彩な経験やデータ等から導き出された見解・持論をシリーズで語っていただきます。

  • ストック型予防医療の理論と実践
  • 「原点」に返り「未来」を見据える歯科医院経営
  • 自費根管治療のススメ
  • 歯髄幹細胞は歯髄に欠かせない細胞
  • ホープレスの歯に立ち向かう
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FEEDNOTE No.34 掲載記事

6月になり、「ロックダウン」が解除され、先日、リトリートメントを扱ったハンズオンコースを再開させていただきました。(ライブはいいなあ!)というのが率直な感想です。

このロックダウン中の2か月間、有難いことにお声がけをいただき、いくつかウェビナーをさせていただきました。新鮮だったのは最初だけで、受講生の皆様のポジティブ・ネガティブ両方の反応をリアルタイムに五感で感じられないことに物足りなさを感じるようになりました。

人間は日常生活を送る中で、さまざまな刺激から情報を収集するだけでなく、多種多様な方法で自らを発信しています。それが、「ロックダウン」中の2か月間は不自然な形で制限されたこともあり、うつ病になってしまわれた人、歯ぎしり・食いしばりからくる疼痛を訴える方など、明らかに「歯が原因ではないのに来院する患者さん」が増加いたしました。

私自身も、「医療は社会の必要インフラである」という信念のもと、クリニックを通常どおり開け続けておりましたが、直前キャンセルが相次ぎ、開業以来感じたことのなかったストレスや先行き不安感におそわれました。

6月に入り、COVID-19と共存する新しいライフスタイルがスタートしましたが、皆様、「手探りと試行錯誤」でオペレーションを展開していらっしゃるように見受けられます。私は、何が正解か分からないものの、COVID-19の予防にフォーカスするがあまり、もっと重要なことがおざなりになってしまうのを回避しなければならないと思います。ちなみに、昨年の熱中症による緊急搬送者数は7万人程度。6月20日過ぎ現在のCOVID-19の累積患者数を上回っています。また、感染を恐れて虫歯を放置し、家に閉じこもってばかりいると、免疫をアップさせるのに必要なベータ細胞が虫歯のために適切に機能せず、却って感染しやすくなってしまいます。

「健康を維持するための一連の施策」のはずが、形式ばかりを重んじて趣旨を没却してしまったら本末転倒です。巷に溢れている、「無料」の情報は、情報の流し手によってバイアスがかかっている可能性があります。是非ご自身で汗をかきながら「真実」の情報を入手しに行っていただきたいと考えています。

現在、個人的にはCOVID-19に関する、WHOの見解と米英の見解が異なっている点に注目しています。陰謀論は好きではありませんが、それぞれの主張に耳を傾けつつ、「誰が結局のところ、最終的に利益を得ているのか」といった視点を忘れないようにしたいなと考えています。

医療はリアルに患者さんに触れてこそ施せるものです。リアルな技術はバーチャルでは伝わりづらい。このため、私は今後もリアルなハンズオンの場にこだわっていきたいと考えております。実際、トロントスタディープログラムのフリードマン先生も「同プログラムの醍醐味は直接指導だ!」とおっしゃり、延期になってしまったスケジュールの再構築に努めて下さっています。3か月ごとに普通にお会いしているときは、「ちょっと口うるさいなー」なんて思っていたフリードマン先生でしたが、今は実際にお目にかかり、直接叱っていただけるのを心待ちにしている自分がいます。

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寺内 吉継 profile 東京医科歯科大学歯髄生物学研究室博士課程修了
デンタルアーツアカデミー主任講師

神奈川県開業。
最先端の歯科関連技術・知識の吸収を目的としたセミナー「デンタルアーツアカデミー」の主任講師として、日本に留まらず世界各国で講演を行うなど、幅広い活動を行う。